一本杉花嫁のれん館

花嫁のれんとは、幕末から明治時代から伝わる、加賀藩の能登・加賀・越中で始まった婚礼の風習の一つで、嫁入りの時に嫁ぎ先の仏間に掛けられ、花嫁がくぐるのれんです。

婚礼に使われた後出番がなく、箪笥の肥やしになっていた花嫁のれんを、七尾一本杉通りの女将達が、平成16年からゴールデンウィーク期間中に「花嫁のれん展」の開催を始めました。

商店街の各店舗や住宅に展示し、その花嫁のれんの魅力に多くの人が惹き付けられています。

花嫁のれんを常時見られるようにと作られた「花嫁のれん館」は、平成28年春に開館し、常設展示室では明治から平成までの花嫁のれんを見ることが出来ます。

また、地域の婚礼文化を展示する企画展示室や、婚礼衣装をまとい花嫁のれんをくぐる体験のれんくぐり体験、オリジナルグッズを販売するショップ、地域の観光情報を発信する交流スペースも併設されております。

花嫁のれんとは、加賀藩の嫁ぐ女性が持参する“嫁入り道具”のひとつ。

婚家先の仏間の入口にかけられ、花嫁はそれをくぐってご先祖様にあいさつをします。

こうして初めて嫁入りすることが認められ、その後に結婚式を始めるというのがこの地方の習わしです。

花嫁のれんは結婚式で役目を終えると、そのまま箪笥にしまわれてしまうのが一般的。

しかし七尾の一本杉通りでは、そんな各家のれんを一挙に展示する「花嫁のれん展」が、毎年4月29日から母の日まで開催されます。

こちらは「鳥居醤油店」さんの花嫁のれん。

奥に見える宝船の描かれた一品は、現女将の義母・ふみ子さんのもの。

戦時中に両親から贈られたこののれんは、60年以上も箪笥にしまわれたままになっていたそうですが、「花嫁のれん展」がきっかけで表に出すことができ、ふみ子さんはそこで初めてのれんをくぐることができたそうです。

こちらがのれん本来のかけ方。

手前の花嫁人形は、「花嫁のれん展」に感動した来場者の方から贈られたものだとか。

「北島屋茶店」さんに展示された花嫁のれん。

酉年生まれの新郎にちなんで鶏の意匠が描かれています。

期間中はそんな美しいのれんを目の前に、お抹茶挽きの体験もできます。

これは男性が婿入りする時の“花婿のれん”。

お嫁さんののれんに比べ、シックな色合い&シンプルなデザインのものが多いとか。

「歩らり」さんに代々受け継がれている花嫁のれん。

期間中は、“家宝”を間近で見られる珍しい機会なので、

これを目当てに全国からたくさんのお客さんがやってきます。